2024年8月21日(水)にセイジ・オザワ 松本フェスティバル、サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)のオーケストラ コンサート Cプログラム(初日)を鑑賞してきたので、興奮覚めやらぬうちに感想を。
本公演は元々Andris Nelsons氏によるBrahmsのSymphony No. 3, No. 4の演奏を予定されていて、もちろん期待して購入していた。
しかし、氏が急遽体調不良となってしまい代役として二人が交代して同曲を振る形となり、不安ではあったももの結果的には大成功だったのではと思う。
なお、編成は弦16型2管。弦五部は16(1st Vn.), 14(2nd Vn.), 12(Va.), 10(Vc.), 8(Cb.)だと思われる。
Symphony No. 3 in F major, Op. 90 / Johannes Brahms
指揮: 下野竜也
曲全体を通して
下野さん煽るし、それについていけるSKOは流石。総じて若干金管セクションが堅めであった。
この曲はBlomstedt & N響(2019年定期公演)が印象深く不安だったが、対照的すぎて比較にできない演奏で驚愕であった。
1st Movement: Allegro con brio
早速、非常に前向きなエネルギーたっぷりで(某チョコレート菓子の如く)最後までみっしり。
若干重さはあるが弦セクション全体が同じフレージングで歌うのは流石SKOである。
2nd Movement: Andante
Clarinet, Oboeが流石の歌い回しで、思わず目頭を抑えてしまった。
弦16型でViolinが30丁もあるのに、管楽器2本で埋もれずに響いていたのは下野さんが管楽器出身だからだろうか。
3rd Movement: Poco allegretto
おじいちゃんBlomstedt氏の、定期公演でアンコールまで起こった演奏の抒情的な印象が強いが、このエネルギー感も心を動かされる。
Radek氏のHorn Soloも予習通り安定感を裏切らなかった。この後指揮台に立つとは思えないパフォーマンス力で脱帽。
4th Movement: Allegro
クライマックスに向かうにつれ、金管と(少しVn.も)固く凝り気味で、ヒステリックに聞こえてしまった。 この曲は約30分と短いのでNo. 4へのモチベーションを高めてくれるが、下野さんをもっと堪能したかった感は否めないまま。
Symphony No. 4 in E Minor, Op. 98 / Johannes Brahms
指揮: Radek Baborák
曲全体を通して
全体的に丸い。カチカチに鳴らしてこない印象も感じられ、同じ金管出身なのに下野さんとは真逆なベクトルの指揮者であった。
1st Movement: Allegro non torropo
まず指揮の丸を描くような拍打に驚きを隠せずにいた。若干解像度は落ちるが、これは先述の下野さんとの差が激しい。
そこまで粘らないし煽らない、好印象なままクライマックスを迎える。
2nd Movement: Andante moderato
冒頭Clarinet流石というか、やはりBrahmsはCl.好きだったんだろなあと思わせてくれた。
一介のCl吹きとしてはBrahmsのClarinet Sotanaも大好きなので、本日の首席奏者であろうRicardo氏の甘美な旋律にうっとりしていた。
バランス感が若干Horn推しに感じられたのは、指揮者が先程の曲でSoloまで吹いたHorn吹きであることのブラセボだろうか。
3rd Movement: Allegro giocoso
Sonata-likeなScherzoは組み立て方が予習で聴いてきたMozartのHorn Concertoの通りで安心できた。
低弦のSlav感ある歌い方はRadekの母国の影響か。日本人的な演奏も良いが、西洋気触れしている自分にはドンピシャで好み。
4th Movement: Allegro energico e passionato
ここまで来て、少し金管セクションが疲れていそうな印象。下野さんがやりすぎたのか?(苦笑)とまで思ってしまった。
ホールの正反響板からの音が強めな構造だと感じた。輪郭ぼやけている印象はそれかもしれないとここで気づく。
ただBaroque Passacagliaをモチーフとした主題の歌い方は先程のScherzo楽章に続き健在で、執拗に粘ることもなくクライマックスへ高めていき終演。
総評
Nelsons氏の降板が残念であったが、対照的な二人の代振りを楽しめた。
特にRadek氏は当初は楽団員としての出演だった(3番でもソロを務めていた)だろうに、ブラボーすぎる。
カーテンコールの後は三度も舞台上で並んで挨拶(これは恒例のようだが)があり、最後はスタンディングしてしまった。
個人的には前回(2022)はDutoitのModern Programだったので、やはりClassic Era(古典派)の中ではBrahmsは真面目さが日本のオケに合うのも不思議ではない感を再認識した。